劇団四季の歴史三部作の一つ、

ミュージカル異国の丘を観てきました。(→Link)

ミュージカルとしての完成度は非常に高く、音楽・ダンス・演出・舞台装置など圧倒される内容でした。
ですが、そのストーリーは「李香蘭」(→Link)
で語られたような戦争の多面性はなく、学校の歴史教科書を読んでいるかのような単調さを感じました。

「異国の丘」は戦争の流れに人生を翻弄され、シベリア抑留された日本人の話。
60万人以上の日本人が抑留の上、強制労働に従事させられ、多くの方が非業の死を遂げています。1945年の終戦後も抑留され続け、最後に残った抑留者が帰国できたのは1956年。実に戦後11年も経過していました。
観劇したほとんどの人が涙する悲しい物語ではありました。ですが、「李香蘭」で語られようとした戦争の発端、原因への問題提起が薄く、単に悲劇の主人公達の壮絶なる人生を見せられただけと感じました。
しかも、日本政府は蒋介石政権と和解の道を探ったが、中国人によって邪魔されるというサブストーリー付き┐(´ー`)┌

実際に自国民が受けた痛みを知ることは、戦争への大きな警告になります。ですが、そればかりにフォーカスを当てると、本来の争いの原因や相手国の痛みから顔を背ける結果となってしまうでしょう。
むしろ、自国民の痛みを控えめに訴えるくらいで感情的バランス的は良くなるかもしれません。

アメリカ国民も反テロ戦争の中で、テレビゲームのように圧倒的勝利をしている間は対戦国の痛みを感じているようには思えませんでした。
イラク戦争で自国兵士に犠牲が出て初めて反戦の声が上がっているようです。

自国の被害に最も関心が集中するのはどの国においても当然のことです。
ただし、自国の被害と痛みだけではなく、それ以前の紛争の原因を語り合わないと本当の反戦活動にはならないでしょう。
「自分が痛くなければ、他人はどうなっても良い」。そう考える人は少数だと思いますが、実際問題として他人の痛みを知るというのは本当に難しいことだと思います。

ミュージカル「異国の丘」は、戦争問題に関しても深い考察の上で語られる浅利慶太先生の台本ですから、私が感じた違和感は全く的外れだとは思います。
歴史三部作の残る一つ、「南十字星」もぜひ観劇して劇団四季流の戦争問題を感じたいともいます。

  岐阜店